ゆずゆず温泉

これまでちょっと冬眠中でしたが、これからは春眠暁を覚えずで行きます(だめじゃん)。

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はんぶんぶぶんぶんのしあわせ(ブリザードアクセル・陣×小雪)

☆まえがき
お初の陣×小雪です。
・・・いや、間に「×」入るほどには恋愛沙汰ではないのですけれど。
なんとなーく、思いついたので。
続き からどうぞ。

______________________________


 半分こ、という概念を小雪が理解したのは――というか知ったのは、実はけっこう大きくなってからのことだ。
 おやつでも何でも、必ず一人につき一個もらえる環境で育ったので、乳幼児の頃はそういう局面に出くわしたことがなかった。
 よしんば「頂き物のケーキが残りひとつしかない」という状況があったとしても、相手はあの兄であるから、小雪が食べたいと言えば喜んで譲ってくれたし、食べかけてもういらないと残せばやっぱり喜んで残りを平らげてくれた。
 半分こ、なんてする必要がなかったのである。

 あれは小学校二年生の時だったように思う。
 友達の家に遊びに行った。
 二人でおやつにメロンパンを食べていたら、友達の妹がやってきて、自分もほしいと泣き出した。
 ところがそれこそメロンパンは頂き物で、小雪と友達が食べている分しか残っていなかったのである。
 ――だからさっさと食べちゃいなさいって言ったのに。
 友達のお母さんは何故か怒りながら、友達に言いつけた。
 妹と『半分こ』にしなさいと。
 友達はものすっごいふくれっつらで、不承不承食べかけのメロンパンを割った。
 ところがそれをもらっても妹は納得しない。
 お姉ちゃんの方が大きい、と主張する。
 ちゃんと同じくらいにわけた、と姉もムキになる。
 取り替えてあげなさい、と母親の声が飛んでくる。
 お前はちょっと食べちゃってるでしょう。少し大きめにわけてあげるのが思いやりよ。
 お姉ちゃんなんだから。
 友達はもう半泣きで、それでも言いつけに従って、妹とメロンパンのかけらを取り替えた。
 姉の手に乗せられたそれは、妹が駄々をこねた時にぎゅうっと握りしめられていて、小さく固くべちゃべちゃになっていて、全然おいしそうに見えなかった。

 あのとき、私の分をあの子にわけてあげればよかったのよね。
 思い出すたびに小雪の胸はちくりと痛む。
 目の前で起こった未知の出来事にとにかくびっくりして、そんな知恵も回らなかったのだ。
 以来「半分こ」の言葉には、涙をぽたぽた流して、嗚咽をこらえていた友達の姿が重なってくる。
 自分の兄がちょっと特殊な部類に入るらしい、と気がついたのもその頃からだ。

 長じるにつれて、誰かと何かをわけあう機会は当然のように増えた。
 実際に当事者になってみれば、ごく僅かの量の多少などさほど気にならないものだ。
 でも時折ふと、考えてしまう。
 完璧に、誰も泣かないように、「半分こ」する方法って無いものかしら、と。

 ☆☆☆

 そして今、小学校五年生に成長した小雪はちょっと考え込んでいた。
 手の中にメロンパンがひとつ。
 目の前に梧桐陣がひとり。
 メロンパンは、フィギュアの練習が終わった時に、友達のお母さんがくれたものだ。
 パート先で残ったものをもらってきたとかで、けっこう評判の品らしい。
 確かに、焼きたてではないけれど甘い香りがして、外さくさく、中はふうわり、おいしそう。
 練習後のお腹がぐうぐう鳴ってしまいそうだ。
 そして、梧桐陣。
 スケートがとびきり上手で、優しくって、一緒にいると楽しい、男の子の中では多分一番仲がいい子。
 さっきまで一緒に練習していたから、自分と同じくらいお腹が減っているであろう子。
「・・・半分こ、したいんだけど」
「ん?」
「・・・むずかしいよねー・・・」
 ただ半分に割るだけでも難しいと思うのだが、くわえてこのメロンパンというやつは、さくさくとふうわりの比率も大事であるからして、その辺も見極めなくてはならない。
 しかし、あんまり迷ってぐちゃぐちゃと潰してしまっては、せっかくの風味が台無しになるし。
 ためらう小雪に、陣が微笑みかけた。
「それじゃあ、僕がわけてもいいかな」
 待ってました。
「うんっ、お願い」
 小雪から受け取ったメロンパンを、陣は器用にわけ始める。
 ほどなく生まれたふたつの塊は、見事にほとんど同じだった。
 おおっ、と喜んだのもつかの間。
「さ、小雪ちゃんどっちにする?」
 聞かれて、また考えてしまった。
 どっちが大きいかな。
 ・・・ううん、陣くん男の子だし、私が小さい方をとって大きいのをあげた方がいいよね。
 でも・・・同じくらいに見える・・・。
 あ、こっちのほうがちょっとさくさく部分が多いかな?
 陣くんはさくさくとふうわりとどっちが好きかしら・・・。
 首を傾げたり、覗き込んだり、迷う小雪の姿がおかしかったのか、陣がくすりと笑った。
「むー。笑わないでよう」
「ごめんごめん。・・・あのね、これって『ものをわける時にケンカしないで済む方法』なんだって」
「え?」
「一人がわけて、もう一人が選ぶ。あとになって相手の方が大きかったかな、と思ってもね、わけた方はそうやって不公平にわけちゃった自分がいけないわけだし、選んだ方は大きい方を選ばなかった自分がいけないわけでしょ? だから、文句は言いっこなし、ってこと」
 ・・・なるほど、確かにそうだ。
「――すごい、陣くん」
 小雪が思いっきり褒めると、陣ははにかんだ。
「いや、そういう風に聞いたことがあるってだけで・・・。えっと、だから、小雪ちゃんの好きな方を選んでくれていいんだ。僕はどっちでも大丈夫」
「ありがとうっ。・・・じゃあこっち」
 何だかとても安心して、小雪は迷うのをやめた。陣が右手に持っていた方をもらう。
「いただきまーす」
 並んで食べる半分このメロンパンは格別だった。
「おいしいねー」
「小雪ちゃんメロンパン好き?」
「大好きっ」
「じゃあ、もうちょっとあげる」
 言うが早いか、陣は自分の分け前をさらに割いて、小雪にくれる。
「え、いいの?」
「うん。口はつけてないとこだから」
「――ありがとう」
「もともと小雪ちゃんがもらったものだよ。僕の方こそありがとう」
 爽やかな笑顔ってこういうのを言うのかなあ、と思いながら、小雪は陣がくれた小さなかけらから平らげる。
 さくさくして、ふうわりして、とってもおいしかった。
 半分こっていいな、と思った。

 ☆☆☆

「じーんくんっ、半分こしよー」
 それから数年。
 おいしいお菓子や飲み物を、まず陣のところに持ってくるようになった小雪である。
 ・・・いや、六花と分け合うのももちろん楽しいのだが。
 六花ときたら不器用でドジっ子で、固形物を割らせればかけらをこぼす、液体を注がせればひっくり返す、という状態なので、わける役を常に小雪が担わなければならないのである。
 正直ちょっとめんどくさいので、ついつい陣のところへやってきてしまうというわけだ。
 陣のわけ方は危なげなくて潔くて、真摯で誠実で、なにより見ていてわくわくする。
「はい、じゃあこれが半分分」
「はんぶんぶん?」
 何気なく言ったその言葉の響きがおかしい。
 繰り返されて、陣も気がついたようだ。
「はんぶんぶん、はおかしいかな」
「うん、おかしい」
 くすくすと小雪は笑う。
「ね、ね、はんぶんぶぶんぶん、だともっとおかしいね」
「半分部分分?」
「そう、はんぶんぶぶんぶんっ」
 他の人がぱっと聞いてもきっとわからない、二人だけの会話の中で生まれた、二人だけでわかちあえる言葉。

 はんぶんぶぶんぶんのしあわせ。

<終>
_________________________

☆あとがき
・・・うーん・・・。書いてはみたものの。
けっこう難しいです、陣×小雪。
(いや、だから、間に「×」は入らないだろう、この内容では。)
絵で描く方が色々思い浮かぶかなあ。
二人でお散歩とかお買い物とか。

さもなければ、吹雪と六花の熱々に煽られて、自分も色々したくなり、陣くんを誘っちゃう小雪、ってパターンになっちゃう・・・。
決め台詞は
「きっと六花ちゃんと吹雪くんも○○してるよ」
「もう六花ちゃんと吹雪くんは○○したよ」
そんで、「え、そうなのかなあ?」とかびっくりしながらも押し切られちゃう陣くん。
で、あとで吹雪から「あ? んなわけねえだろ」とか言われて「だ、騙された!?」と思ったり。
・・・どうしても小雪のキャラ立てが黒い方向へ行ってしまう私を、誰か叱って下さい。
あんなに、あんなに可愛い小雪ちゃんなのにっ。

しかし、いざ書こうとしてみると陣と小雪の設定がよくわからないので困ったのでした。
いつ頃出会ったのか。
そしていつ頃から仲良くなったのか。
あと、陣の家族構成とかも気になります。
兄弟はいるのか。
なんとなく長男ではなさそうなのですが、かといって末っ子でもない感じ。
姉(高1)・陣(中1)・弟(小4)くらいかなあと勝手に想像。
あと、祖父母とかもいて、けっこう大家族かなあとか。
解説好きの豆知識豊富くんって感じがするのですよね、梧桐陣。
最初の頃「フィギュアは自分自身との勝負」とか言ってたような気もしますが・・・基本的にお世話焼きくんだと。

しかし、ペア恋愛禁止令ということは、陣×小雪も禁止ということで、うかつには話を進められないことには代わりがないのであります。

・・・そもそもなんでいきなり陣×小雪かというと、どっかから電波が飛んできたからなんですが(笑)。
せめて電波の発信元さんが楽しんで下さるといいのですけれど。


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*Comment

にゃー。発信元さんいらっしゃいませ(笑)
読んで頂けてよかったです。喜んで頂けたならば嬉しいです。
小雪ちゃんと陣くんは書いてて楽しかったですよー。てゆかやっぱり私陣くん好きみたいです。
今回ちょっとぬるめだったので次回機会があったらもうちょっとホットに行きたいなと思ってたりします。
吹雪の隣の陣くんもサービスでどぞー。
どちらにしても霜月さんの中では陣くんは受なんですね…。
私の中でも…割とそうかも(笑
  • posted by 百賀ゆずは
  • URL
  • 2006.05/04 00:09分
  • [Edit]

not subject

…恐らく電波発信元の霜月です(ノ∀`)
あ、ありがとうございまっすぅぅぅぅうううう(お前な
涙で画面が見えまs(ry

で…。ハァハァハァハァハァh(;´Д`)オチツケ
ちょっと悶えました。
いや、書いてくれると信じてましたがここまで悶えるとは思いましたよ!
絵……!ぜ、是非(氏ね
あと↑の吹雪×陣くんも私のサービスと解釈して良いですk(コラ

とりあえず陣くんの家族構成とか気になります。
私は小雪ちゃん(攻)×陣くん(受)と信じてますから。(マテ
何か長くなりましたが本当に有り難うございました!電波発信元は微笑んで舞い上がって喜びました!
  • posted by 霜月
  • URL
  • 2006.05/02 19:35分
  • [Edit]

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Author:百賀ゆずは
昭和生まれ おうし座A型。
好きな食べ物は最後までとっとくタイプ。
別に好きじゃないけど長期休みの宿題は最終日までとっとくタイプ。

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