ゆずゆず温泉

これまでちょっと冬眠中でしたが、これからは春眠暁を覚えずで行きます(だめじゃん)。

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スコーン製作過程における素朴な疑問とその解答(ブリアク・陣×小雪)

☆まえがき

前回の陣×小雪はいまいちラブ度が足りなかったとお嘆きのアナタに第2弾をお届けします。
陣×小雪が苦手な方、もしくは純真で可愛い陣×小雪がお好きな方(ここ重要)は、いつも通りスルーでよろしくお願いします。

________________________________

 本日の家庭科は調理実習。
 お題は英国風のティータイム。
 スコーンその他を作ります。

「えーっと、切ったバターを入れて、粉と混ぜ合わせる・・・」
「そぼろ状になったら・・・中央をくぼませて、卵と牛乳を入れるんだって。ほい卵」
 つるん。
「牛乳――これ全部入れちゃっていいの?」
「ちょい待ちちょい待ち・・・えーっと、生地が耳たぶくらいの硬さになるように調整して入れろって」
「耳たぶー? って、えっとこんなくらいかなあ?」
「んー・・・どれどれっと」
 むに。
「にゃああああああっ!!」

 ☆☆☆

 いきなり耳たぶをつかむだけでも相当ひどいのに、挙げ句「小雪の耳たぶの柔らかさに合わせたから生地がゆるくなり過ぎた」はあんまり失礼だと思う。
 クラスメイトの茅乃ちゃんは決して悪い人ではないし、その明るさと元気さはむしろ好ましいのだけれど、豪快すぎてついていけない時がたまにあるのも事実だ。
 まだ足りない、もうちょっとと、小雪の制止も聞かずに牛乳をどばどば注いだのは他ならぬ茅乃ちゃんであるというのに、人の耳のせいにしないでほしい。

「でもよく出来てると思うよ、このスコーン」
 陣は笑って、小雪班謹製スコーンをもう一口頬張った。
 放課後、学校近くの公園内のあずまや。
 木で出来たテーブルの上にはランチョンマット。その上に缶の紅茶と件のスコーン(お持ち帰り分)。
 本格的な練習はリンクの一般開放が終わらないと始まらないので、腹ごしらえを兼ねてお茶の時間を楽しんでいるふたりである。
「ほんと? おいしい?」
 小雪は聞き返した。
 まあ砂糖その他は分量通りだし、そういう意味では味に違いは出ていないと思うが、何しろ生地がゆるくなったのは事実。
 かろうじてふくらんだことはふくらんだが、いまいち自重を支え切れていないそのフォルムは、かなり食欲を削ぐ。
 客観的な――というか、陣の主観的評価は気になるところ。
「うん。ふわふわしてるし、しっとり優しい味がする。やっぱり手作りのお菓子っておいしいよ」
「――よかった」
 安心して小雪もスコーンに手を伸ばす。
 もちろん、試食込みで実習だったわけだが、陣と一緒に食べるおやつは別腹なのだ。
 涼しい風が通り抜けていく。
 遊び場よりも少し離れた木陰にあるので、小さい子供たちの声は遠く、むしろ葉ずれの音が近い。 
 スコーンは確かにおいしいし、新発売の紅茶もいけてる味だし、幸せ、幸せ。

 それにしても。
「あいまいな表現よねー」
「ん?」
「『耳たぶくらいの硬さ』って・・・」
 小雪はふにふにと自分の耳たぶをいじった。
 今まで特に気にしたこともなかったが、どうやら自分の耳たぶは標準より柔らかいらしい。
 ――何これ柔らかすぎ! うわ、上の方もふにゃふにゃだよ、軟骨入ってないんじゃない?
 と大げさに驚く茅乃ちゃんの耳たぶを触らせてもらったが、確かに小雪のそれよりも、うんとぱつぱつしていて硬かった。薄かったし。 
「個人差だってあるのにぃ」
「んー・・・それはそうだけど、大体の感覚でいいんじゃないかなあ」
 いいんじゃないかなあ、と言いつつも、あごに拳を当ててとりあえず考えてくれる陣。
 しかし小雪の視線は、その表情よりも彼の耳に注がれていた。
 短く刈った髪に隠されることなく、すっきりと存在するそれ。
 あんまりまじまじ見たことはなかったけれど、複雑で面白い形をしているものだ。
 ・・・硬そうではあるけれど、表面には産毛など生えていて、柔らかそうでもある。
「ねえ陣くん」
「・・・え?」
「触っていい? 陣くんの耳」
「え!? ・・・え・・・えーっと」
 突然の許可願いに目を白黒させているけれど、拒絶の言葉はない。
 ならば、と小雪は指を伸ばした。
「失礼しまーす」
 茅乃ちゃんと同類にならないように、一応ご挨拶。
 ぴくっ。
 指が触れるか触れないかのところで、陣が身じろぎした。
「動かないで――」
 ていっ、と耳たぶをつまむ。
 ひんやり。が第一印象。
「あ、冷たい」
「・・・耳って、表面積が大きいから熱が逃げやすいんだよ」
 耳をつままれたままで陣が言う。
「熱いもの触ると反射的に自分の耳をつまんで冷やしたりするでしょ?」
「・・・ううん? やったことない」
「――そういえば僕もやったことないや」
「何それ」
 思わず小雪がふきだす。
「いや、うちのおばあちゃんがよく・・・あ、えっと、ほら、象の耳って大きいよね。あれは暑いところでも暮らせるように体熱を逃がしやすくする為に進化したんだよ」
「へー・・・」
 陣くんたらこんな変な体勢でよくしゃべるなあ、と思いながら、小雪はさらに陣の耳をふにふにした。
 冷たいと思っていたのに、だんだん熱を帯びてくる。小雪の手の熱が移ったのだろうか。
 肝腎の硬さはと言うと――小雪の耳よりは硬い。
 でも茅乃ちゃんの耳よりは柔らかい。
 というか、まろやか。
 うん、変な言い方だけど、まろやかって感じ。
 あと、少し肉厚かな。しっかりしてる。
「・・・こ、小雪ちゃん・・・?」
「んー」
 小雪は陣の耳から指を離した。
 あからさまにほっとする陣を尻目に、同じ指で自分の耳を触ってみる。やはりぷにょぷにょ柔らかい。
「んんー」
「うわ、ちょっ・・・」
 もう一回陣の耳を触ってみた。
「――やっぱり違う!」
「いや、うん、だから大体でいいんじゃないかなと・・・」
「でも全然違うんだよ。陣くんも触ってみて、ほらほら」
 触りやすいように耳を向けたのに、陣は指を動かそうとしない。
「ほらってばー」
 じれた小雪は、陣の手を掴んで、耳元へ引き寄せた。
「いやさすがにそれはちょっと・・・」
「陣くんは気にならないのー? 『耳たぶくらいの硬さ』の真実が」
「あ、え、――いや、だってほら、僕はスコーン作らないから」
 我が意を得たり、とばかりに言い切って、陣はするりと小雪の手から逃れた。
 むむ。
 何だか釈然としない。
「さ、ほら、そろそろ行かないと。一般開放が終わる頃だよ」
 立ち上がり、さっさと片付けなど始めた陣の手を、小雪はそっと押さえた。
「ねえ、陣くん・・・?」
「な、何?」
 下から覗き込む小雪に気圧されたように、陣は及び腰だ。

「陣くんの耳、噛んじゃダメ?」

「だ、だ、ダメに決まってるじゃないか!」
 一瞬のあと、陣の顔にぱっと朱がさす。
「なんで『決まってる』の?」
「~~~~~あのねっ」
「痛くしないよ? ちょっとだけ、はむってするだけ」
「そういう問題じゃなくてっ」
 焦った陣の声がだんだん大きくなってくる。
 ――でも、いくら追いつめられたとしても、陣は絶対に小雪の手を乱暴に振り払ったりはしない。
 わかっているから、小雪はちょっとずつちょっとずつ手を上へ這わせて、片手で手首を掴み、もう片方の手を肘の内側に添えて、それからくんっと力を込めた。
 まあお座んなさいってば。
 思惑通り、陣は再び小雪の隣に座った。
「指で触ったんじゃわからないんだもん。指の表面柔らかいから、どこまでがどっちの感触なのか」
「・・・その、他の人に頼んだらどうだろう。茅乃ちゃんとか、六花ちゃんとか・・・」
「陣くんの耳がいいの!」
 却下、却下、却下。まったくもう、わかってない。
「・・・それに、女の子同士でそんなことしてたら、アヤシイでしょ?」
 陣はぐっと息を詰め、それから溜息のように吐き出した。
「・・・アヤシイ行為だっていう認識はあるんだね、一応」
 小さい小さい独り言みたいな問いかけに、小雪がわざと答えずにいると、陣はもう一つ息を吐いてから、目線をすっと小雪に向けた。
 どきっとする。
 ひどく真面目な・・・ちょっと怖いかもしれない目。
 でも負けたくないから、小雪も目を逸らさない。
「ね・・・お願い。いいでしょ?」
「――じゃあ交換条件で」
 陣が切り出した。
「・・・なぁに?」

「先に小雪ちゃんの耳、囓らせてくれるなら」

 想定の範囲内。だけど予想の斜め上。
 だからちょっと答えに詰まる。
「・・・さ、先に?」
「そう。報酬前払いで」
 陣は笑った。
 にやり、って感じで。
 あんまり見せない表情だけど――それも確かに陣の持つ表情のひとつであることを小雪は知っている。
 不敵な、と言いかえてもいいかもしれない。
 綺麗に並んだ白い歯が、ちらっと覗いた。
 ことに犬歯が気になって仕方ない。
「痛くしない?」
「・・・わかんないよ。つい力が入っちゃうかもね」
 ぷつん、と軽い音を立てて、犬歯の尖った先が皮膚に食い込む様子を想像してしまった。
 小さい赤い血の玉が、ピアスみたいに耳元を飾ったり・・・。
 それはそれで。
「いいよ」
 はっきりと、でも小声で小雪は答えた。

 え? と陣が言わなかったのは褒めてあげようと思う。
 一瞬目が泳いだのは、見なかったことにしてあげる。
 さあ、どう続けるの、梧桐陣。
「本当に、いいの?」
「うん。だって陣くんの耳、どうしても噛んでみたいんだもん」
 それに噛まれてみたいんだもん。
 後半部分は言わないでおく。
「右でいいよね?」
 聞きながら、小雪はほつれ毛をかき上げて耳にかけた。
 手の平に遮られて、一瞬世界の音が遠ざかり――耳をさらしてもその静寂はそのまま続いていた。
「はい、どうぞ」
 心持ち首を傾げて、右耳を陣の方へ向ける。
 陣のシャツをくいっと引っ張ってから、そっと目を閉じた。
 
 硬直時間は、多分3秒くらい。
 陣の手が二の腕を押さえる。
 目を閉じていても、彼の体が覆い被さってきて光を遮るのは感じられた。
 息遣いがわかる距離。
 耳がぞわぞわする。
 寒気に似た感触。
 ちょっぴり心細くて、緊張する。

 そっと何かが触れた。
 じっとしているつもりだったのに、体が勝手に跳ねてしまった。

「あ、ごめん・・・」
 陣が謝る。
「その、粉が・・・」
 粉?
 耳に触れたのは、陣の歯や唇ではなくて、指だったようだ。
 それだってまあ、最初の状況から比べれば大進歩ではあるけれど・・・粉?
「多分小麦粉だね。調理実習の時くっついちゃったんじゃないかな。この辺残ってる。ああ、髪にも」
 言いながら、優しいけれどもロマンチックとはちょっと違う動きで耳の周りを払ってくれる。
 ――確かに、茅乃ちゃんてば小麦粉エトセトラついた手で人の耳をいじくってくれましたけれども。
 ちゃんと拭きとったと思ったのに。
 この局面でなんなのかしらこの展開。
「ん、とれたよ」
 お掃除に集中したおかげか、陣にいつもの爽やか笑顔が戻る。
「――と、ああこんな時間だ。小雪ちゃん、練習練習」
 空き缶を二つ掴んで、立ち去ろうとする。
 これはもう、うやむやモードだ。
「ずるい陣くん!」
「え、何が」
「交換条件はどうなったの」
「いや、ほら、成立しなかったから、無しって事で」
「自分で勝手にやめたくせにぃ」
 恨みがましい目で睨みつけても、陣はさりげなーく視線を逸らす。

 ・・・だからそうやって目を背けると、耳がこっちに向くんだってば。
 そのお誘い体質は絶対何とかした方がいいと思う。

 小雪は一歩近寄った。
 二の腕と肩に手を置いて、つま先立ちになる。


 はむっ。


「――――――――っ!!」
 すんでのところで悲鳴をこらえた陣を見ていると、おかしくてたまらない。
「こ、こ、小雪ちゃん!?」
「痛くはなかったでしょ? 唇で挟んだだけだもん」
「いや、痛いとか痛くないとかそういう問題じゃ・・・大体噛んでいいなんて許可した覚えはないんだよ!?」
「それなんだけどね、陣くん」
 小雪は人差し指をぴっと立てた。
「交換条件は成立してたんだよ」
「え?」
「さっきちゃあんと囓ってたでしょ、私の耳――」
「み、未遂じゃないか」
「――と、同じ硬さの生地で作ったスコーン!」
「・・・え?」
 真っ赤な顔のままぽかんとした陣があんまり可愛くて、小雪はくすくす笑い出す。笑い出さずにいられない。
「耳そのものじゃないから、私も歯では噛まなかったんだよー」
「・・・そんな・・・『鰻のかざ』じゃあるまいし」
「うなぎのかざ?」
「そういう落語があるんだよ」
 困ったような、緊張が解けたような顔で、陣は笑った。

 口元から白い歯が覗く。
 ・・・ちょっぴり、惜しくはあるけれど。
 進んでしまったら、今のこの愛おしいやりとりからも遠ざかってしまうから。
 まだしばらくは、このままで。

「うわ、遅刻だよ小雪ちゃん、ダッシュダッシュ」
「きゃー」
「荷物」
 さっと手を伸ばして、重い方のカバンを持ってくれる。
 そんな陣と並んで走れることが、今はとにかく幸せ。

 ☆☆☆

 質問。
 「耳たぶくらいの硬さ」とは具体的にどのくらいの硬さを指すか。

 解答。
 多分、唇よりもちょっと硬いくらい。

<終>

☆あとがき
・・・ごめんなさい。

上がったのはラブ度よりむしろエロ度かもしれません。
薄汚れた大人でごめんなさい。
小雪が黒くてごめんなさい。
陣があんまりにも受っぽくてごめんなさい。
小雪×陣が表記的に正しいかも知れません。

ていうかこれは本当に陣と小雪を描いた話なんだろうか。

またしてもセーフかアウトかアンケートをとりたくなった私です。
18禁かどうかの基準では十分セーフだと思うけど。
キャラクタの歪みっぷりが・・・。
これはさすがに鈴木先生の絵で動かないよ。

「茅乃(かやの)ちゃん」は勝手に作った、いわゆるオリキャラでございます。
話の流れで、六花ではないクラスメイトが必要だったのですが、設定がないもので、勝手に。
最近「涼宮ハルヒの憂鬱」など見たもので、そういう感じのキャラになってしまいました。
そういえばハルヒがみくるの耳を噛んでたので、そもそも今回の話は多分そこら辺から来たのでしょう。
(5/7夜追記・違った。多分きっかけはこちらさんですw)

陣のうんちくっぷりが上がりました。
なんか・・・東京の真ん中に昔っからある、でっかい平屋の日本家屋で育ったような気がしてきました。
じいちゃんばあちゃんの影響で、変なこと知ってそうです。
「鰻のかざ」というのは、タイトルは違うけど、まあ大体こんな話です。
その昔「あさりちゃん」で読んだネタです。
今回のシチュエーションとは違うんですけど、何となく思い出したので。

次は吹雪×六花でいきたいものです。
ネタのストックがこれ以上否定されないうちに(笑)。


あと前回の陣×小雪について。
>ガミガミミサイル様
それは禁句です(笑)。>僕君2巻



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昭和生まれ おうし座A型。
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