ゆずゆず温泉

これまでちょっと冬眠中でしたが、これからは春眠暁を覚えずで行きます(だめじゃん)。

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acoustic(古泉×長門)

☆まえがき
古泉×長門第3弾!!
と言うにはあまりにも微妙(はあと)。
まーまー、とりあえず読んでみて下さいませ。

ガチでキョンハルな歌であるところの「God Knows...」が古泉長門に聞こえ始めたらもうだいぶ煮詰まってるよね、というお話(笑)。

________________________________

 キョンが部室に着いた時、そこには古泉だけがいた。
 珍しいこともあるものだ。
 たいてい一番乗りは長門で、(というか彼女はいつもいつもそこで本を読んでいるので、授業に出ているかすら怪しいと思うのだが、)古泉は朝比奈さんの着替えが終わった頃にひょっこりとやって来るのが常だからだ。
 更に珍しいことには、古泉はギターなど抱えていた。
 進行するコードが部室の外に漏れ聞こえていたと思ったが、源はこいつだったのか、と思う。

「こんにちは」
 キョンがドアを開けたのに気がついて――尤も何時から気がついていたのか本当のところはわからないが――古泉は演奏をやめ、いつもの笑顔を見せる。
「何だ、それは」
「ギターです」
 見ればわかる。
 キョンの心のツッコミが聞こえたのだろう。古泉は続けた。
「涼宮さんがどこかから調達してきたんですよ。来年の文化祭ではバンドをやるつもりらしいですから、その準備でしょう」
「――本気だったのか」
 確かにそんなことは言っていたが――。
 いや、訂正しよう。ハルヒはいつでも常に本気のことしか口にしない。口にするのは全て本気だ。
 故にこの「本気だったのか」は「勘弁してくれ」とほぼ同義語である。
 だが、とキョンは思う。
 目の前のそれは、どこをどうひいき目に見ても木製の、牧歌的なラインを描いた、アコースティックギターである。
 バンドといったら普通はエレキでぎゃんぎゃん、ではないのか。
「とりあえず手に入ったのがこれだったんですよ。きっと。まあ練習にはなるでしょう」
 そう言って、古泉はアルペジオをつまびく。
 細く長い指が器用にフレットを押さえ、弦を順序よく弾いて、綺麗な和音を奏でた。

「さっき弾いてた曲だが・・・」
「はい」
「もしかしてあれだったか? この間の文化祭で」
「わかっていただけましたか。光栄ですね」
 古泉は微笑み(って言ってもいつだって笑ってるんだが)、もう一度最初からその曲を弾き出した。
 アコギ一本だからアレンジはまるで違うことになるが、想起されるメロディは紛れもなくあの曲。
 <God Knows...>

「涼宮さんの演奏は見事でした」
「・・・まあな」
「満員御礼でしたしね。実にいいタイミングで雨が降ったものです」
「――おい、まさか」
 それもハルヒのせいだと言うのだろうか。
 折角の自分の演奏を、少しでも多くの人に聴いてもらいたいと。
 思う心が雨を降らせた。
 雨に追い立てられて、落ち着く場所のない人々は講堂へ集う。
 古泉は笑顔でその疑問を曖昧な方向へずらした。
「いい曲です。歌詞もいい。――歌詞が、いい。涼宮さんは歌いやすかったでしょうね。感情がこめやすかったことでしょう」
「・・・何が、言いたい?」
「どこからが神の思し召しなのかと」
 古泉が<神>と口にする時、それは即ち涼宮ハルヒのことを指す。
 どこからがハルヒの望みだったのか。
 この曲をたまたまどこかで耳にする機会があって、自分がそれを歌ってみたいと望んだのか。
 (その為にボーカルの女生徒は扁桃腺を腫らして高校最後の文化祭を棒に振ったのか。)
 あるいはこの曲そのものが、ハルヒの望みから生まれたのか。
 (それも自分で作ることはせず、他人に作らせたのか。)
 (カッコウの託卵のように。)

「そんな怖い顔をしないでください」
 古泉は笑う。
「わかっていますよ。考えても詮無きことです。全てはOnly God Knows. 神のみぞ知ること」
 話す間も弾き続けていたギターは、サビに入る。
「・・・涼宮さんは多分、この歌が歌えて満足だったでしょうね」
「――古泉」
「誤解しないで下さい。僕もこの歌が大好きですよ」

 それきり古泉は、男にしては長い睫毛を伏せて、1番分を弾き終わる。
 最後の和音の余韻。それが空気に溶けたあとの瞬間の静寂。

「でも当然の事ながら、僕がこの歌を聴く時――歌う時でもいい、心の中に想う『あなた』は違う人物なんです」
 古泉は呟く。
「あるいは、『あなた』を僕のことと想定して歌ってほしい人物、という言い方をしてもいい」

「――まったくもって当然だ」
 空気が重くて仕方ないので、喋らざるを得なかった。
「十人いれば十通り、いや百通りでも感じ方があっていいはずだ。それが歌とか芸術とか、そういうものだろう」
「そうですね」
 あっさりとした答えに逆に引っかかりを覚える。
「それが、本来あるべき姿ですね」
 古泉はいつもの顔で笑った。
「――<神>の都合でねじ曲げられることもままありますが」

 何か言うべきじゃないか、と身構えたキョンの次の行動は、ドアの開く音で制止された。
 長門が部室へ入ってきた。
 微かに会釈のようなものをして、いつもの椅子に座る。
「長門さん」
 古泉が話しかけた。
「先日の文化祭の曲を、このギターで演奏することは出来ますか?」
「出来なくはない。けれど耐久度に問題がある」
「ああ失礼しました。このアコースティックギターのスペックに合わせてアレンジ及び演奏方法を変えて、演奏することは可能ですか」
「可能」
 古泉は立ち上がり、ギターを長門に渡そうとする。
 長門は手を出そうともしない。
 ただ黙ってキョンを見上げた。
「――弾いてやったらどうだ」
 自分の言い方があまりにぎくしゃくしている(しかもどこか偉そうだ)のに気がついて、キョンはフォローを入れる。
「ええと、その、俺も聴いてみたい。この間の演奏はすごかったぞ」
 長門はこくりとうなずいて、ギターを受け取った。
「歌は?」
 思わぬ問いかけに、虚をつかれる。
「え?」
「演奏に合わせて歌うことも可能」
「あ、そ、そうか、歌えるのか――それじゃあ折角だから」
「いいえ」
 古泉が静かに遮った。
「いいえ、結構です。ギターだけ・・・聴かせて下さい」
 その声はどこか切実味を帯びて、祈りにすら、似ていた。
「・・・じゃあ歌は無しで。もともと古泉のリクエストだからな」
 キョンの言葉に、長門はこっくりとうなずいた。

 長門の技巧は大したもので、アコースティックギターとは本来こんなにすごい楽器なのかと、正直キョンは舌を巻いた。
 だが。
 基本的なアレンジ自体は、先程古泉が弾いていたものと変わらないように思える。
 同じ(ような)動きをなぞる長門の細くて白い指先を、古泉はじっと見つめている。
 時間を超えて奏でられる同じメロディ。
 調和する音律。
 けれどそれは――古泉のみが知っていること。
 いや、キョンだって知ってはいるが――長門と古泉、二人に限って考えた場合は、ということだ。

 ・・・なんだか、むずむずしてきた。
 どうも自分の得意分野の話ではないような気がしてきた。
 キョンが居心地の悪さを覚え始めたちょうどその時。

 ばぁん。

 勢いよくドアが開いた。
「有希ぃ! すごい! あんたアコギもプロ級ね!!」
 いつも通りの賑やかさでハルヒが乱入してくる。
 長門は2番のあとの、メロディが変わる部分を弾かずに、演奏を終えた。

 古泉はいつも通りの表情で、ハルヒに「こんにちは」と挨拶した。

<終>

________________________________

☆あとがき
音楽に関しては全く知識がないので、用語とか色々間違ってたらすみません。

「百賀は結局のところ可哀想な古泉が好きなだけなんじゃないか説」浮上。
多分浮上してなくてもそれは事実。
ちなみに「可哀想な長門は好きじゃないので、古泉に何とかしてほしい」というのが古泉×長門を書く原動力の8割くらいを占めている。

古泉×長門で検索して下さる方が、毎日1人とか2人とかいらして、それだけで嬉しい。
やっぱり需要ってあるんじゃーん、古泉×長門ありなんじゃーん、とほくほくしながら、自分でも検索してみた。

自分の書いた話が上の方に来てた。

・・・供給は、あんまり無いらしい。
(いや、光栄なことではありますが。)



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*Comment

古泉×長門ですよね!
わーよかった、私だけじゃなかった!!
私も妄想のあまり仕事が手につかなくなったりします。(こらこら)

読んで下さってありがとうございます。
  • posted by 百賀ゆずは
  • URL
  • 2006.08/04 20:22分
  • [Edit]

私もこの曲は古泉X長門だ!と思って、この前、車の運転時に妄想してたんですよ。(危ないv-27
二人のお話が読めて癒されましたv-290
  • posted by ぴよ様の奥様
  • URL
  • 2006.08/03 09:02分
  • [Edit]

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昭和生まれ おうし座A型。
好きな食べ物は最後までとっとくタイプ。
別に好きじゃないけど長期休みの宿題は最終日までとっとくタイプ。

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