ゆずゆず温泉

これまでちょっと冬眠中でしたが、これからは春眠暁を覚えずで行きます(だめじゃん)。

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勉強会(ブリザードアクセル・吹雪×六花)

☆まえがき

えーと。
今週のブリザードアクセルの感想サイト様を見て回っていたら、来週からの学校生活で「吹雪は授業について行けるのか」っていうコメントがあって。
・・・妄想、してしまいました。
来週、実際に学園編が始まって色々設定が明らかになったら成立しなくなってしまうかも知れないネタなので、早めにご披露。
・・・えっと、あくまで妄想です、妄想。

___________________________

 白帝若葉寮ビデオルーム。
 どっしりと四角いテーブルの一辺に吹雪が、その右手隣に六花が座っている。
 大きなモニターは真っ黒――つまり何も映っていない。
 では二人、何をしているかと言えば・・・答えは広げられたノートと教科書と問題集の山にある。

「・・・じゃあ、次は数学ね」
 六花の声がだいぶ低い。疲れていた。
「とりあえず、・・・五年生くらいからいってみようか」
 がさごそと問題集の山をひっくり返して、実力テストのページを探す。
 小学五年生なら呼称は「算数」であるが、まあ細かいことは気にしてはいけない。
 ここまでの数時間で六花はいやというほど思い知っていた。
 吹雪の学力は、いきなり中学一年生の問題をやらせても理解できないレベルにある、ということを。
 なにしろ、小学生時代の基本がしっかりしていない。
 応用力以前に計算力が怪しい。
 となれば、学年を遡った実力テストでまず理解度を測り、しかるのちにステップアップしていくのが、時間はかかるようでも着実な道だ。
 急がば回れ、というではないか。
「なー。ちょこっと休憩しねぇ?」
 吹雪のほうもぐったり、テーブルにあごを乗せて眠そうな目をしている。
「だめ」
 きっぱり。六花の声は硬い。
「さっき休んだばっかりじゃない」
「んだけんどもー・・・あ、じゃあジュースのおかわり取ってくるか」
「そんなに水分ばかり取ってたらお腹たぽたぽになっちゃうでしょ」
「じゃあ煎餅でも。それかクッキーがあったっけ?」
「あのね、吹雪」
 きっ。にらみつける。
「わかってるの? 今度の中間テストではもう少しまともな点取らなくちゃ。いくら特待生でも格好がつかないのよ」
「・・・あー」
 吹雪は体がひっくり返るような溜息をついた。
 そして呟く。
「目標の140点はクリアしたんだからいーじゃねーか・・・」
「140点はフィギュアの話でしょ!」
 五教科合計で142点。
 それが新学期早々に行われた実力テストでの吹雪の成績だった。
 しかも得点のほとんどは選択肢の問題を勘で当てたことによる。
 中学一年生からこれでは、先が思いやられる。
 しかも、六花たちが通う中学校は、それなりの進学校として名が通っている私立なのだ。
 いくらなんでも体裁が悪い。
 ということで六花が家庭教師役を買って出たのであった。
 が。
 状況は前述の通り。
 吹雪の頑張りも前向きな姿勢もきらきらの瞳も、フィギュア限定のものであるようだ。 少なくとも、勉強には向いていないらしい。
 しかしそこをどうにか、しなくてはならない。
 六花は探し出した実力チェックテストをテーブルの上にばんと広げた。
「はい、とにかくまずはこれをやって。終わったら採点の間休憩にするから」
「・・・オニ・・・」
「制限時間は20分ね。はいスタート」
 吹雪の抗議には取り合わず、六花はストップウォッチを動かした。

 20分の間、吹雪の横顔だけ見つめている訳にも行かない。
 ――本当は、それでも一向に構わないのだけれど・・・こんなに近い距離で心臓の音が聞こえてしまっても困る。
 というわけで、六花は六花で英語の予習を始めた。
 教科書を読み、新出単語を拾い、辞書を引いて意味を調べて・・・。
 実のところ、小さい頃から英語は塾や家庭教師に教わっていて、ある程度話せるくらいだから、今更このレベルの文章で辞書を引く必要もないのだが、それでも基本にかえってしっかりと押さえなくてはと思う。
 ――というか、教師にあてられたらとりあえず辞書丸写しの答えを言わなくてはならないと思うのだ。
 意外に、優等生なのである。
 テストの成績自体は、名前を書き忘れたり回答欄を一個ずつずらしたり問題を読み間違えたりという凡ミスが多いのであまり振るわないのだが、実力自体はある。
 何しろ白帝の一人娘だ。跡取りだ。
 父親には、フィギュアの成績よりも学力を期待されてここまで来た。
 学校の成績が下がるくらいならフィギュアをやめろと、いつ言われるかいつ言われるか、びくびくした時期もある。
 だからどんなに練習で疲れていても、宿題予習復習はちゃんとやる、というのは六花のモットーだった。
 先日の対抗試合のおかげで父の理解は得られたが、だからといっていきなり勉強の手を抜くというものでもない。

 ふと視線を感じた。
 吹雪が六花をじっと見ていた。
「・・・あと7分よ。もう出来たの?」
 内心のどきどきを取り繕いながら、問う。
「んー。降参」
 いっそ清々しく吹雪が断言する。
 確かに、その答案用紙は白旗並に白い。
「ふう」
 どうしたものか。思わず大きく溜息をついてしまう。
「いーんだよ、オレはフィギュアさえできれば!」
 六花の反応にさすがに傷ついたのか、吹雪が拗ねる。
 ちょっぴりカチンと来た。
「だから、フィギュアを続ける為には勉強もしなくちゃならないの!」
「なんで」
 問い返されて、ぐっと詰まる。
 うまく言葉にならない。
 吹雪はまたテーブルにあごを乗せた。
「・・・勉強なんかしてる暇があったら、滑りてぇよなあ」
「――別に、暇だから勉強する訳じゃないでしょ?」
「六花だってリンク行きてぇだろ?」
「今は一般開放中」
「あ、そんじゃこの間の試合のビデオ・・・」
「何回も見たじゃない」
 会話するうちにイライラがつのってくる。
 吹雪が勉強から逃げたがっている。最初はそう思った。
 けれど、フィギュアのことを口にするだけできらきら輝き出す吹雪の瞳を見ていると、そうではないとわかってくる。
 吹雪は、本当に今この瞬間も滑りたくてたまらないのだ。
 そう思うと、何だか自分がひどく無駄で理不尽なことをしているような気になる。
 吹雪にはフィギュアがある。
 勉強よりも何よりも、大好きで大事なものがある。
 これさえあれば他には何も要らないと、言い切れる強さ。

 わかっていたけど。
 でもこれじゃ、吹雪の役に立ちたいって思ってた自分の気持ちがまったくのお節介みたいでいやになる。

 というか。

 ――吹雪と二人でいられるってちょっぴり喜んでた自分がバカみたいじゃない・・・。


「・・・なあ、六花」
 下唇の内側を噛んで押し黙る六花に、不意に吹雪が声をかけた。
 それでもぶすっとうつむいていると、すっと吹雪の手が伸びてくる。
「邪魔じゃねえか?」
 髪を一房、持ち上げられた。
「――え?」
 びっくり。
「なんか目ぇ悪くなりそうだぞ。ばさーって」
 確かに、結んでいない長い髪は、書き物をする時に手元を暗くするけれど・・・だからっていってこの行動はあまりにも突飛すぎる。
「か、関係ないでしょ」
 不機嫌だったのも頭からすっ飛んで、六花の声が裏返る。
「気になって勉強が手につかねえ」
「――どうせやる気無いくせに」
「・・・んー」
 吹雪は六花の髪を離さずに、毛先をぴこぴこ動かした。
そのまま指を口元へ持って行くものだから、六花の髪の毛に唇が触れそうになる。
 どきどき。というかひやひや。
「ちょ、汚・・・」
 思わず口をついて出た言葉に、吹雪の目が傷ついたように見えた。
 あ、いや違う、別に吹雪の口に付くのが汚いって言ってる訳じゃなくて。
「だめ、髪の毛なんて汚いから、食べちゃだめだってば」
 ――これじゃまるで「手当たり次第にものを口に入れる赤ちゃんに注意するお母さん」だわ、と六花が内心しかめ面をしていると。
 吹雪がさらりと言った。
「――んじゃ、どこなら食べていいんだ?」

 ――はい?

 た、食べるって食べるって、いや、どこもかしこも食べられちゃったら困るんですけど。
 ていうかそもそも、この場合の食べるってどんな意味!?
 固まる六花の髪に更に指を絡めて、優しく優しく吹雪が引っ張る。
 テーブルの角の境界線を越えて、顔が近づいてくる。
 耳元で、声がした。ような気がした。
 どうせなら、もう少し別の《お勉強》をしないか、と――。



 こんこん!
 がちゃ!!

「六花ちゃーん、吹雪くんの勉強進んでるーー? おやつ持ってきた・・・」

 ああ、なんてお約束。
 いつものことながら絶妙のタイミングで飛び込んできた小雪は、どう見ても色っぽい雰囲気の吹雪と六花を見て硬直した。
 その色白の頬にぱーっと血が上る。
「――い、いくら密室で二人っきりだからって、真っ昼間からみんなのいる寮内でそんな・・・ふっ」
 もが。
 決め台詞を遮ったのは、小雪の背後に控えていた人物の手だった。
 陣が慌てて小雪の口を塞いだのだ。
「え、と、・・・邪魔したね、ごめん!!」
 困ったような笑顔を貼り付かせて、そのまま小雪ごとくるりと回れ右。
 退場。
 閉まるドア。

 ぴ。
 ぴぴぴ。ぴぴぴ。ぴぴっ。

 忘れられていたストップウォッチが、本来のテスト終了時間を告げる。
 その音で、ようやく吹雪と六花は動き出せた。
「え、えっと・・・」
 そそっと離れながら、六花が視線を落とした先には、もちろん真っ白なままの答案用紙。
 脳みそを通さずに反射的に口走ってしまう。
「零点。もう少し頑張りましょう・・」
 一瞬の間のあと、吹雪ががくっと大仰に肩を落とした。
 ・・・と思ったら、その肩が震え出した。
「ふ、っく、くくっ・・・」
 どうやら笑っているらしい。
「ちょ、な・・・もう! 何がおかしいのよ」
 どん。握り拳でテーブルを叩く。
 それも介さず、ひとしきり笑って、ようやく吹雪は顔を上げた。前髪をかき上げる。
「――おう、了解。もうちっと頑張るぜ」

 ・・・いったい、何だというのか。
 結局なんだというのか。
 まったく、まったく・・・。
 (これじゃ私、小雪にただ誤解されただけ損じゃないの!)
 小学四年生の分数の計算問題を、吹雪は今度は真面目に解いている。
 ふと、空になった自分のグラスが六花の目に止まる。
 うっすらとついた色つきリップクリームの跡が何だか妙に恥ずかしくて、そっと指を伸ばして拭き取った。

 初秋の頃のとある一日の出来事である。

<終>
_______________________________

☆あとがき

えーと。
だから、妄想。妄想ですってば。
本当は
「どうせなら別の勉強しねぇか?」のセリフと
「髪の毛食べちゃダメ」
「じゃあどこなら食べていい?」
のやりとりだけ書きたかったんですけど、結局前後にいつものそれらしい展開をくっつけてしまいました(笑)。
「ネガティブでマイナス思考で、過去の失敗引きずってて、気持ちがうまく収集つかなくて、吹雪といると余計に淋しく悲しくなっちゃう六花」というのがうちのコンセプトらしいです。
困ったもんですね。

んー。
吹雪の気持ちの流れが謎です。
ていうかだから、吹雪には愛とか恋とか性欲とか、そういうのとはもうちょっと無縁な「少年」でいてほしいという気持ちに嘘はないんですけど。
そのはずなんですけど。
・・・やっぱりこう、なんかこう、色気を出したくなってしまうのですよね。
すみません、ヨコシマで。
まあ所詮妄想ですから。



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昭和生まれ おうし座A型。
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